古物商許可が下りるまでの時間・期間はどれくらいかかる?行政書士が解説

古物営業を始める際には古物営業許可(古物商許可)が必要になります。

ここで注意することの1つとして挙げられるのが古物商許可取得までのスケジュール。
スケジュール感覚が無いと、予定していた時期に「古物商許可が無い!」という事態が発生してしまいます。

このようなことが無いためにも古物商許可が発行されるまえのスケジュール感は押さえておいた方が無難です。

古物商許可が取得できる時間・期間を考えず、地域にチラシをまいてしまった事例がありました。その場合不特定多数に「無許可営業」を知らしめる可能性さえあります。十分お気をつけください。

目次

古物商許可を取得するまで「2か月」見ておくと安心

古物商許可の手続きは、営業所の所在地を管轄する警察署・生活安全課に行います。
手続の際に提出される書類に問題なければ、「手続きが受理され受理された日の翌日から『40日』」が一応の目安となります(この40日の期間を「標準処理期間」と言います)。

ただこの「40日」は、あくまで目安で、「何にも問題なければ」という前提があります。
また、古物商許可の手続きの際に提出する「必要書類の作成・収集」する時間のことも忘れてはいけません。


「40日の標準処理期間」はコントロールできませんが、必要書類の作成・収集は頑張って短縮することもできれば、ミスで時間がかかる場合もあります。

必要書類の作成に必要な期間・・・10日~2週間

必要書類の収集期間

基本的には住民票や身分証明書などの必要書類は、「1週間くらい」で全て収集したいところです。

しかし中には「本籍地」が遠方にある方もいらっしゃいます。
例えば、現在の住民票には「千葉県佐倉市~」が記載されていますが、本籍は「鹿児島県肝属郡肝付町~」というケース。

古物商許可の添付資料に「身分証明書」というものがあります。
この身分証明書は「本籍地の市区町村」でしか取得することができません。
そのため、上記の場合だと郵送で肝付町役場に請求しないといけません。

この郵送のやり取りだけで1週間前後かかってしまうので注意が必要です。

「身分証明書」は、本籍地のある市区町村で発行する「禁治産・準禁治産、成年後見の有無、破産の有無」を証明する資料です。

古物商許可の「要件をクリアできていること」を証明するために、身分証明書の提出が必要になります。

新たに法人を設立した場合は要注意!

新たに法人を設立して、その法人の名前で古物商許可を取得する際は、法人の完成する時期も把握しないといけません。

また役員が何人いるかも把握しておきます。
なぜなら全ての役員の住民票・身分証明書が必要になるからです。

その他、履歴事項全部証明書、定款のコピーの用意も忘れずに。

古物商許可の取得を見据えた法人設立ができると良いですね。

必要書類の作成期間

必要書類の収集ができましたら、続いて「収集した書類の情報」を基に「必要書類の作成」をしていきます。
必要書類の作成は、「見直し」も合わせて「1週間」ほどで終えたいところです。

申請書等は、収集した必要書類(住民票、履歴事項全部証明書など)の通りに記載する箇所があります。
書類作成から始めてしまいますと、後から収集した必要書類と違う記載内容になってしまう可能性がありますので、まずは住民票や履歴事項全部証明書などを収集してから書類作成をすると、二度手間を回避することができます。

書類の作成が完成したら、住民票や履歴事項全部証明書などと照らし合わせて、間違いが無いか確認したいですね。

古物商許可の手続き・・・1週間

古物商許可の手続きに必要な書類の作成・収集が完了したら、いざ「手続き」。
手続きは、書類の不備なども考えて1週間ほどで完了したいとことです。

前述の通り古物商許可の手続きは、営業所の所在地を管轄する警察署・生活安全課で行われます。

いきなり手続きに行って大丈夫な時もありますが、まずは警察署・生活安全課に連絡して「今日の~時ころに古物商許可の手続きに行って良いですか?」と確認しておいた方が良いでしょう。

なぜなら、警察署の担当者がいない場合は「他の日時に来署してください。」と言われることが結構ありますし、千葉県で言えば千葉中央警察署や柏警察署のような普段からとても込み合っている警察署については「あらかじめ予約してください」と言われます。

そのため手続きの前にあらかじめ来署の日時を確認するのが無難でしょう。

手続きを受けてくれないこともある。

手続きがされると、必要書類に不備が無いか警察署の担当者が確認します。
何も問題なければ良いのですが、中には必要書類がそろっていなかったり、書類内容に不備があることで手続きを受けてくれないことがあります。

その場で訂正することができる内容のモノであれば良いのですが、そうでない場合(不備があまりにも多い等)は、手続きは受理されず、「一旦持ち帰ってください(再度不備を正してから手続きに来てください)」ということになります。

古物商許可の取得までのスケジュール表

STEP
必要書類の収集(1週間)

住民票、身分証明書の収集など、法人の場合は履歴事項全部証明書の取得と定款のコピーの用意。

STEP
必要書類の作成(1週間)

住民票、履歴事項全部証明書などの情報をもとに申請書等の作成、誓約書の作成。

STEP
古物商許可の手続き(1週間)

あらかじめ手続きで来署できる日時を管轄警察署・生活安全課に確認。
手続きが受理されたら手続きの翌日から40日の標準処理期間に突入。

STEP
標準処理期間(40日)

警察署や担当者により40日の期間は前後する可能性あり。
提出書類に間違いがあると警察署から連絡が来る。早く対応しないと標準処理期間の40日を超えてくる。

STEP
古物商許可証の発行。

プレートの作成や古物台帳の用意も忘れずに行いましょう。

古物商許可の時間がかかってしまう理由

本籍地が遠いために身分証明書を取得する時間がかかる

前述したとおり、本籍地が遠方にあると、身分証明書を郵送で取得する必要があります。まずは本籍地の市区町村ホームページを確認して、身分証明書を請求するための申請書をダウンロード、そして郵送での請求に必要な書類の確認をしましょう。

法人の役員が多い(更に役員の本籍地が遠方にある)

古物商許可を法人で取得する際は、「法人の全ての役員の住民票、身分証明書」が必要になります。更に本籍地が遠いと大変なのは上記の通りです。

よくあるのが、法人の役員が複数人いてそのうちの何人かが「本籍地の記載の無い住民票」を用意するケース。古物商許可では住民票は「本籍記載」のものが求められます。必ず「本籍記載の住民票を用意するように」という情報を役員の間で共有しましょう。

法人の「履歴事項全部証明書」の記載内容が昔のまま

例えば履歴事項証明書の目的欄と「定款の目的」の内容が違っていたり、履歴事項全部証明書の役員が、古物商許可の手続きの時にはいないのに未だに記載がある、その他履歴事項全部証明書の代表取締役の住所が「現住所」と違う、といったことがあります。

そうするとそれぞれの必要書類の統一性が無く、それぞれが証明資料としての信憑性が無くなってしまいます(訂正を求められます)。必要書類を収集したら、記載内容に統一性があるか、必ず確認をし、訂正すべき箇所は速やかに訂正しましょう。

管理者の住所地が営業所から遠方

管理者は常勤が求められます。更に管理者には、部下を指揮命令するような立場にある人物が想定されています。そのような者が、車で4時間かけて遠方からきている、となると「そもそも営業所に通いきれるのか=常勤できないだろう」という疑義が発生し、手続きを受けてくれない可能性が出てきます。

記載内容の不備

必要書類の内容に誤記があったり、履歴事項全部証明書の記載が現状と異なる、等があった場合には訂正する必要があります。

警察署の窓口で訂正できる内容のモノであれば良いのですが、例えば必要書類の1つである「誓約書」は、「本人による記載」が基本です。「本人しかできない記載」の内容が間違っている場合に、その本人が窓口に来ていなければ、再度誓約書を作成する必要があります。

法人の場合は、定款のコピーに「原本証明」の無く、警察署担当者に指摘されるケースも良くあります。

必要書類がそろっていない

住民票や身分証明書がそろっていない、住民票は用意したのだが住民票に「本籍」の記載がない、などがあります。法人の場合、定款のコピーを忘れるケースも良くあります。

管理者が、日本語が得意でない

外国の方が管理者に就くケースでは、「日本語の堪能さ」が求めらます。なぜなら管理者は古物営業が適正に行われることの責任者であるからです。

古物営業諸法令の理解と実施が求められる以上「日本語の理解」は絶対的に必要となります。

行政書士に依頼するメリット・デメリット

メリット

行政書士に古物商許可を依頼するメリットとして下記を挙げてみました。行政書士に依頼すると、丸投げできる気楽さ、そして安心感・スピード感があると思います。

ただし、普段から古物営業許可の手続きをしていない行政書士や、警察署の対応に不慣れな行政書士も中にはいます。ですからネット等で情報を収集し「どの行政書士が古物商許可を深く理解しているか」を確認した上で依頼するのが良いでしょう。

〇 住民票・身分証明書・履歴事項全部証明書など必要書類の収集や、書類の作成を任せられる。
〇 手続きの中に潜む、「課題」を発見し解決の道を見つけられる(商業登記簿の不備や定款の不備など)。
〇 警察署の対応を任せられる。

デメリット

一方、行政書士に依頼するデメリットは「行政書士に支払う『報酬』」だと思います。
報酬額の幅はピンからキリで、安い行政書士は書類作成を1万円代から行っているようで、高い行政書士だ10万円でフルサポート、といった内容もありました。

ただ「価格に見合ったサービス」を考えると、どれだけ顧客ファーストなサービスを提供したとしても、50,000円前後が妥当ではないかと思ております(正直、10万円もする手続きのサービス内容は、どれだけ素晴らしいのか、私には想像できません。)。

最近では「書類作成のみ」というサービスもあり、そちらは2万円前後で行っている行政書士事務所が多くあります。
手続き自体は本人が行わないといけないのですが、手続きに行くお時間を確保できる方にはぴったりなサービスだと思います。

まとめ

以上、古物商許可を取得するまでの時間・期間をご案内してきましたが、ポイントは「必要書類の作成・収集にそれなりの時間がかかる」ということです。

いつから古物営業を始めるのか、明確にしそこから逆算することで、古物商許可の取得に備えていきましょう。

また、古物商許可の取得が得意な専門家=行政書士に依頼するのも選択肢としてアリだと思います。
時間の削減、そして事業計画の作成や仕入れ先の開拓、オペレーションの考案・決定などに時間をとることができます。

行政書士事務所ネクストライフは、古物商許可の取得サポートのほか、事業計画の作成や創業融資、補助金サポートも行っております。

古物商許可のみのご依頼はもちろんのこと、創業融資や補助金サポートまでご希望のお客様もお気軽に行政書士事務所ネクストライフまでご連絡ください。

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この記事を書いた人

行政書士事務所ネクストライフの代表・行政書士の松原輝(マツバラアキラ)です。各種営業許可、外国人ビザ、補助金・融資、相続・遺言はお任せください。

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