【酒販免許オーナー必読】 免許取得後の義務・手続きとよくある質問(FAQ)

無事に酒販免許を取得された皆様、誠におめでとうございます!

長い準備期間と複雑な手続きを乗り越え、いよいよ夢のスタートラインに立たれたことと存じます。

しかし、私たち行政書士事務所ネクストライフは、皆様にいつもこうお伝えしています。「免許取得はゴールではなく、スタートです」と。

酒販免許は、一度取得すれば終わりではありません。お酒という特別な商品を扱う事業者として、法律で定められた義務を果たし、社会的な信頼を維持していく必要があります。

シリーズ最終回となる今回は、免許取得後に「知らなかった」では済まされない重要な義務や、事業を運営していく中で発生する各種手続き、そして皆様からよくいただく質問について、分かりやすく解説していきます。この記事を活用いただき、健全な店舗運営にお役立てください。

目次

1. 酒類販売者に課せられる3つの「法的な義務」

免許を取得すると、酒税法などにより、主に以下の3つの義務が課せられます。面倒に感じられるかもしれませんが、これらは酒税を正しく確保し、適正な販売を行うための重要なルールです。

① 記帳の義務

お酒の仕入れと販売について、日々の取引を帳簿に記録する義務があります。

記載すべき主な内容

仕入・販売を行った酒類の品目

仕入・販売を行った数量と価格

・仕入・販売を行った年月日

・仕入先の住所・氏名(名称)

保存期間
作成した帳簿は、販売場ごとに備え付け、帳簿閉鎖後5年間保存しなければなりません 。

税務署の職員は、検査のためにこの帳簿を確認することがあります。いつでも提示できるよう、きちんと整理しておきましょう。

② 申告の義務

毎年1回、お酒の販売数量などを税務署に報告する義務があります。

何を報告するの?

毎年度(4月1日~翌年3月31日)の酒類の品目別販売数量

年度末(3月31日)時点での在庫数量

いつまでに?

翌年度の4月30日までに、「酒類の販売数量等報告書」を管轄の税務署に提出します。

この報告は、国税電子申告・納税システム(e-Tax)でも行うことができます。

③ 表示の義務

20歳未満の者の飲酒防止のため、販売場や広告などに定められた表示をする義務があります 。

店舗販売の場合:

販売場の見やすい場所に、「20歳以上の年齢であることを確認できない場合には酒類を販売しない」旨を表示する必要があります。

通信販売の場合:

・広告やカタログ、Webサイトに「20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されている」旨を表示します。

・申込画面には年齢記載欄を設け、その近くにも同様の表示が必要です。

2. 最重要!「酒類販売管理者」の選任と研修

免許取得後に、真っ先に、そして必ず行わなければならないのが「酒類販売管理者」に関する手続きです。これは酒類業組合法で定められた義務であり、罰則規定もあるため特に注意が必要です。

  1. 管理者の選任 お酒の販売業務を開始する時までに、「酒類販売管理者」を選任します。管理者になれるのは、過去3年以内に研修を受けた方などの要件があります。

  2. 届出 管理者を選任したら、2週間以内「酒類販売管理者選任(解任)届出書」を税務署に提出します。これを怠ると10万円以下の過料となる場合があります。

  3. 標識の掲示 選任した管理者の氏名などを記載した「酒類販売管理者標識」を、販売場の見やすい場所に掲示します。

  4. 定期的な研修 酒類販売管理者は、前回の研修受講日から3年を超えない期間ごとに、再度研修を受講しなければなりません。この再研修は忘れがちなので、スケジュール管理を徹底しましょう。

3. こんな時どうする? 免許に関する各種手続き

事業を続けていると、様々な変化が起こります。以下のような変更があった場合は、それぞれ必要な手続きが発生します。

  • 販売場を移転したい

 → 事前に「酒類販売場移転許可申請書」の提出が必要です。

  • 会社の役員が変わった、住所や名称が変わった

 → 「異動申告書」を提出します。

  • 個人事業主から法人成りした

→ 新たに法人として免許の新規申請と、個人としての免許の取消申請を同時に行う必要があります。

  • 事業を廃止する

→ 「免許取消申請書」を提出します。

自己判断で手続きを進めてしまう前に、変更が生じる際はまず一度、専門家にご相談いただくのが安心です。

4. よくある質問(FAQ)コーナー

最後に、皆様からよく寄せられる疑問にお答えします。

Q1. 免許に有効期限はありますか?

酒販免許に有効期限はありません。ただし、正当な理由なく2年以上お酒の販売業を休業していると、免許が取り消されることがあります。

Q2. 知り合いから免許を借りて営業できますか?

絶対にできません。免許の名義貸しは固く禁じられています。免許は人や法人に対して与えられるものであり、他人に譲渡したり貸したりすることはできません。

Q3. 複数の店舗で販売したい場合、免許は一つで良いですか?

いいえ、店舗ごとに免許が必要です。酒販免許は、販売する「場所(販売場)」に対して許可されるものです。支店を出す場合は、その支店の所在地を管轄する税務署で新たに免許を取得する必要があります。

Q4. 税務署の調査はありますか?

はい、あります。税務署の職員は、記帳義務がきちんと果たされているかなどを確認するため、店舗に立ち入り、帳簿などを検査することが法律で認められています。

まとめ:ルールを守って、お客様に愛されるお店へ

今回は、免許取得後の義務や手続きについて解説しました。覚えることが多くて大変に感じられたかもしれませんが、これらは全て、お客様に安心してお酒を楽しんでいただくための大切なルールです。

法令を遵守し、健全な事業運営を続けることが、結果的にお店の信頼と繁盛に繋がります。

行政書士事務所ネクストライフでは、免許取得のサポートはもちろん、その後の各種届出やコンプライアンス対応、経営に関するご相談まで、皆様の事業に継続的に寄り添うパートナーでありたいと考えています。何かお困りのことがございましたら、いつでもお気軽にご連絡ください。

043-483-8911(9時~22時 土日祝日OK)
info@nextlife-office.com(24時間OK)

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この記事を書いた人

行政書士事務所ネクストライフの代表・行政書士の松原輝(マツバラアキラ)です。各種営業許可、外国人ビザ、補助金・融資、相続・遺言はお任せください。

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