【プロ向け】酒類卸売業免許とは?小売との違いと取得のリアルな難易度

皆さんが普段利用するスーパーやレストランは、どこからお酒を仕入れているのでしょうか?

その答えの多くを担っているのが、お酒の「卸売業者」です。彼らは、生産者と小売店をつなぐ、酒類流通のプロフェッショナルです。

今回は、これまでの「小売」とは全く違う世界、事業者間取引(BtoB)を専門とする「酒類卸売業免許」について解説します。

「将来は自分でお酒を輸入して、色々なお店に卸したい」そんな大きなプランをお持ちの方は、ぜひご一読ください。小売免許との根本的な違いや、取得のリアルな難易度が見えてくるはずです。

目次

■ 「プロに売る」ための特別な免許

酒類免許の世界でまず理解すべきことは、「小売」と「卸売」の間に引かれた明確な境界線です。小売免許が一般消費者や飲食店への販売を許可するものであるのに対し、卸売免許はお酒を販売できる免許を持った事業者、つまり酒屋さんやスーパー、酒造メーカーなどに対して、継続的に販売(卸売)をするために必要となります。

そして最も重要なのは、

一般酒類小売業免許や通信販売酒類小売業免許といった小売免許では、この卸売行為は一切できないということです。プロに販売するためには、プロ専用の「卸売業免許」が必ず必要になるのです。

■ あなたの事業はどれ?多岐にわたる卸売免許の種類

「卸売」と一言で言っても、実はその免許は一つではありません。取り扱うお酒やビジネスモデルによって、なんと8種類にも細かく分かれています 。

その中でも、特に代表的なのが「全酒類卸売業免許」「ビール卸売業免許」です。これらは、原則すべての品目を扱える「全酒類」と、「ビール」を専門に卸売できる、いわば卸売免許の王道です。しかし、これらは最も取得が難しい免許としても知られています。

なぜなら、お酒の需給バランスを調整するという目的から、

都道府県ごとに年間の免許発行可能件数が決められているのです 。そして、毎年9月の申請期間中に希望者が発行枠を超えた場合、公開抽選によって審査を受けられる順番が決まるという、非常に狭き門となっています 。

では、他の選択肢はないのでしょうか。

ご安心ください、多くの事業者様にとって、より現実的な卸売免許も存在します。

特に輸入ビジネスを手掛ける方に人気なのが「輸出入酒類卸売業免許」です。この免許は、自社で輸入したお酒、またはこれから輸出するお酒を卸売するためのもので、前述の抽選制度の対象外です。

また、ワインやウイスキーなどを専門に扱う場合は「洋酒卸売業免許」という選択肢もあります。こちらも抽選はなく、特定のジャンルに特化して卸売を行いたい場合に適しています。

■ 取得のハードルは「運」と「経験」

「全酒類」と「ビール」の卸売免許取得が難しい理由は、抽選制度だけではありません。申請者の経営基盤を審査する「経営基礎要件」の中に、他の免許にはない厳しい経験要件が定められています。

具体的には、

酒類の製造業や販売業の業務に10年以上(経営者として従事した場合は5年以上)継続して従事した経験などが求められるのです 。これは、大規模な流通を担い、多額の酒税に関わる卸売業者には、小売業者とは比較にならないほどの高い経営能力と業界知識が不可欠とされるためです。

抽選という運の要素に加え、長年にわたる確かな実績が問われる、まさにプロフェッショナルのための免許と言えるでしょう。

■ まとめ:覚悟と計画性が必要なプロフェッショナル免許

酒類卸売業免許は、消費者向けに販売する小売免許とは全く性質が異なります。特に、全ての酒類を扱える免許を目指すには、長年の業界経験と、抽選というハードルを乗り越える覚悟が必要です。

一方で、輸出入酒類卸売業免許のように、ご自身のビジネスプランによっては現実的に取得を目指せるものもあります。成功の鍵は、ご自身の事業計画にどの免許が最適かを見極め、そのための要件を一つずつクリアしていく入念な戦略を立てることです。その複雑さから、卸売免許の取得には専門家との二人三脚が不可欠と言えるでしょう。

免許取得に関してお悩みやご不安がございましたら、ぜひ一度、当事務所の無料相談をご利用ください。お客様の状況を丁寧にお伺いし、免許取得への最短ルートをご提案させていただきます。

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この記事を書いた人

行政書士事務所ネクストライフの代表・行政書士の松原輝(マツバラアキラ)です。各種営業許可、外国人ビザ、補助金・融資、相続・遺言はお任せください。

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