事業再構築補助金とは!(補助金専門の行政書士が超独断と偏見で解説)

事業再構築補助金は・・・

〇 新型コロナウイルスの影響を受けた事業者が、苦境を脱するための新事業の展開を後押しする補助金。

〇 生産性の向上も求めており、例えば事業終了後一定期間内に付加価値額等の増加を求めている。

目次

新型コロナウイルスの影響を受けた事業者が、苦境を脱するための新事業の展開を後押しする補助金。

2019年の年末から騒がれ、2020年突如として猛威を振るった新型コロナウイルス。
そしてその影響は現在も続き、2021年8月3日時点で6都道府県において再度緊急事態宣言が発令されています。

そのような中、「実店舗による営業」をしている事業は、特に厳しい状況に置かれており、例えば飲食、百貨店、葬儀、宿泊、観光等の業種は今後も苦境に立たされることが予想されます。

このような状況を脱するため、前向きな(・・かつ、全く異なる業種への転換など、リスクの高い、思い切りのよい、大胆な)事業計画を策定する事業者に対して、事業計画遂行に見合う十分な経費補助を行うことが本補助金の内容となっています。


ですから下記のような事業計画はそもそも事業再構築補助金の申請ができません。

〇 売上げ減少がコロナによるものでない。
〇 要件はクリアしているが、全体的に見れば2021年の売上は他の年と比べて良い。
〇 既存の事業がそもそも事業としての体をなしていない。
〇 新たに計画する事業がそもそも事業としての体をなしていない。

などなど

しっかりとした事業計画を策定した事業者が申請できる事業再構築補助金ですが、
事業計画が認められ採択された場合、気になるのが補助金額。

事業再構築補助金の補助金額・補助率は下記の通りです。

補助金額と補助率

事業再構築補助金では、6つの申請類型があります。6つの申請類型(「通常枠」「大規模賃金引上枠」「卒業枠」「グローバル枠」「緊急事態宣言特別枠」「最低近々枠」)ごとに補助金額、補助率は下記の通りです。

通常枠

補助金額【従業員数 20人以下】 100万円~ 4,000万円
【従業員数 21~50人】 100万円~ 6,000万円
【従業員数 51 以上】 100万円~ 8,000万円
補助率中小企業者等 2/3(6,000万円超は 1/2)
中堅企業等 1/2(4,000万円超は 1/3)

大規模賃金引上枠

補助金額8,000 万円超 ~ 1 億円
補助率中小企業者等 2/3(6,000万円超は1/2)
中堅企業等 1/2(4,000万円超は1/3)

卒業枠

補助金額6,000万円超 ~1億円
補助率2/3

グローバルV字回復枠

補助金額 8,000 万円超 ~ 1 億円
補助率1/2

緊急事態宣言特別枠

補助金額【従業員数 5人以下】 100万円~500万円
【従業員数6~20人】 100万円~1,000万円
【従業員数 21人以上】 100万円~1,500万円
補助率中小企業者等 3/4
中堅企業等 2/3

最低賃金枠

補助金額【従業員数5人以下】 100 万円 ~ 500 万円
【従業員数6~20人】 100万円 ~ 1,000万円
【従業員数21人以上】 100万円 ~ 1,500万円
補助率中小企業者等 3/4
中堅企業等 2/3

これら6つの申請類型ごとの補助金額・補助率を見た時、「新たな事業への相当な補助をすること」がわかる思います。

一方でこれだけの規模の補助金ですから、採択されるためには「求められている要件」をクリアし、事業計画を立案し、かつ必要資料を整えて申請手続きをしないといけません(はっきり言います。事業計画はとても大変・困難で、必要資料の収集も大変です)。

クリアすべき要件とは・・・

事業再構築補助金を申請するには、(ちょっと厳しい)要件をクリアしないといけません。
クリアすべき要件は下記の通りです。

① 事業計画を始め、事業再構築指針に示す「『事業再構築』に該当する事業」であること。
② 一定の売り上げ減少が認められること等。
③ 事業計画を認定経営革新等支援機関と策定すること等。
④ 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加する事業計画を策定すること等。
⑤ 必要資料の作成・収集
⑥ その他

上記の要件が6つの申請類型の基本となります。

②については、簡易にご案内しておりますが、実は少々複雑です。

⇒詳しくは「売上高等少要件を改めて確認(事業再構築補助金)」
ご確認ください。


③については、類型によっては「金融機関」が認定経営革新等支援機関と一緒に事業計画を策定しないといけません。また補助金額3,000万円を超える事業計画については、 また類型に関係なく金融機関が事業計画策定に加わらないといけません。

④については、付加価値額を、従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上に代えることができます。

⑤については、要件をクリアしているだけではだめで、それを証明するための資料の提出が必要な他、直前3期分の決算報告書や、場合によっては補助経費を証明するための疎明資料(見積書など)を用意する必要があります。

⑥については、各申請類型により独自の要件が設けられています。

事業再構築補助金は、補助金額がこれまでの補助金と比べ非常に高額と言えますが、それだけに厳しい要件をクリアしないといけません。

生産性の向上も求めており、例えば事業終了後一定期間内に付加価値額等の増加を求めている。

事業再構築補助金は「 新型コロナウイルスの影響を受けた事業者が、苦境を脱するための新事業の展開を後押しする補助金。 」であると前述しました。

実際、公募要領の「事業目的」には

新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上の回復が期待し難い中、ウィズコロナ・ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するために新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的とします。

との記載がありますが、

「 生産性の向上も求めており、例えば事業終了後一定期間内に付加価値額等の増加を求めている。 」という側面もあります(「クリアすべき要件④」がまさにその通りです)。

上記の考え方は、公募要領の事業目的に記載が無いものの、「クリアすべき要件」として設けることで、新たな事業計画を遂行することにより生産性の向上が求められていることがわかります。

ではこの付加価値額とは一体何なのか??
それは以下の通りです。

付加価値額 = 営業利益 ∔ 人件費 ∔ 減価償却費

付加価値額は上記の式で求めることができます。

事業再構築補助金ではこの「付加価値額」の増加が求められますが、
そのためには、営業利益を多く残すため販売費及び一般を減らすか、または売上総利益や売上を上げて、売上原価を下げないといけません。

その一方で付加価値額増加のため、人件費を増加させると販売費及び一般管理費が増額するので営業利益が減少する可能性があります。
そのことは「減価償却費」にも言えます。

要するに付加価値額増額をするのに「営業利益の増額」と「人件費の増額」「減価償却費の増額」はトレードオフの関係費あります。

しかし付加価値額を年ごとに増額させていくには「営業利益」「人件費」「減価償却費」の増額が必要です。
そのためには「営業利益」「人件費」「減価償却費」の合計を増加させつつ売上アップを図り、売上原価、販売費及び一般管理費(「人件費」「減価償却費」以外の残り)を減少させる計画が必要になります。

以上の事から
単なるコロナによる困難を脱するための新たな事業計画ではなく、「その事業計画を実施することにより生産性の向上を図れるものであること」が必要になるのです。

まとめ

いかかでしたか?
以上のことから事業再構築補助金は「新型コロナウイルスの影響を受けた事業者が、苦境を脱するための新事業の展開を後押しする補助金」であって、「生産性の向上も求めており、例えば事業終了後一定期間内に付加価値額等の増加を求めている」補助金であると弊所は考えております。

クリアすべき要件を見た時、非常に大変で困難な補助金ではありますが、
これを機に自らの事業を確認し新たなスタートを切ることができます。

本記事を作成時点で残り3回のチャンスがあります(2021年8月4日現在)。
ぜひトライしてみてください!

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この記事を書いた人

行政書士事務所ネクストライフの代表・行政書士の松原輝(マツバラアキラ)です。各種営業許可、外国人ビザ、補助金・融資、相続・遺言はお任せください。

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